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独自の魅力と事業コンセプトを作る

「同じことをやっている他の人のところではなく、あなたにお金を払う理由はなんですか?」

たとえば、ベビーマッサージの講師なら、他にもベビーマッサージを教えている人はたくさんいますよね?
他の先生ではなく、あなたからレッスンを受ける理由はなんでしょうか?
どうして他の人ではいけないのでしょうか?

教室講師や起業家を目指す方は、必ずこの質問に答えられるようになってください。
答えを持たないまま事業を始めると、ほとんどの人は集客に苦戦したり、途中で挫折したりするからです。

「あなた独自の魅力」をきちんと言語化しておきましょう。

独自の魅力~USP(Unique Selling Proposition)とは

「差別化」という言葉を聞いたことがありますか?
事業を立ち上げたばかりの起業家が、熟練のライバル講師や、大手企業と戦っていくには、この「差別化」の考え方がとても大切です。

これを、ビジネスの世界ではよく「USP(Unique Selling Proposition)」と言いますが、覚えにくければ「差別化ポイント」でも全然OK。
大切なのは、その答えです。

なぜUSPが必要なのか

なぜ必要か?は、もしUSPがない事業だったらどうなるかを考えるとわかります。

冒頭で例に出したベビーマッサージ教室の話を続けると、

「児童館や商業施設で無料のベビーマッサージはいくらでもあるから、お金を払っていく必要は感じない」
「宣伝チラシをつくっても、他のベビーマッサージ教室と代り映えしないので読まれない」
「直接声をかけても、『あー、またか』と思われる」
「体験に来てもらっても『次はまた無料の別のレッスンに行こう』と思われてしまう」
「お客様が来たとしても、『どこでも一緒だしなぁ』と満足度が上がらない」
「リピートする理由をお客様がみつけられない」

ぱっと思いつくだけでも、成功しそうにありませんよね。

一方、USPとして「本格的なオイルマッサージで、赤ちゃんの体や成長を熟知している。先輩ママだから子育て相談もできる」という差別化ポイントがあったとしたらどうでしょうか。

「子育て相談しながら、成長を一緒に見守ってくれる頼れる先生」なら、上に上げたすべての「選ばれない条件」をクリアできますよね。

USPの見つけ方

目の前にA4サイズ以上の白紙をおいて、鉛筆を手に頭に浮かんだことをすべて書き出していきましょう。
単語でも、文章でも、イラストでも、それらが混ざっていても全く問題ありません。
自分の頭の中を、手を止めずに最速でアウトプットできることが一番大切です。

「もう出てこない」と思ってから、さらにもうひと頑張り。
頭の中がスカスカになった…と感じるまで、書き出しましょう。

これは「ブレインダンプ」と言われる作業で、頭の中でモヤモヤとしている発想のアイデアを引き出すには最適な方法です。

step.1 あなた自身の独自性を探ってみましょう

以下のヒントを参考に、あなた個人が持つ他の人との「差別化ポイント」を書き出していきます。
「これは、私の短所だけど…」「事業にはまったく関係ないことだけど」などと悩むことがあっても、それも含めてすべて書き出して大丈夫です。
とにかく、浮かんだことはすべて書き出しましょう。
誰にも見せるものではないので、字が汚くても、ちょっと恥ずかしい内容でも大丈夫です。

ポイント

  • あなたがお客様に伝えたいメッセージは?
  • あなた自身の経歴、職歴などで他の人と差別化できる部分は?
  • 家庭、結婚、子育てなどで苦労してきた経験はありますか?
  • 得意なこと、趣味はなんですか?
  • こだわっていることはなんですか?
  • やりたくないこと、苦手なことはなんですか?

事業とは関係なくても、個人のUSPを知っていることで、人生をよりストレスなく無駄なく過ごせるようになります。
ぜひ、頭の中にあるあなた自身とじっくり向き合ってみてください。

step.2 あなたの教室、事業の独自性を探ってみましょう

次は、あなたの教室やサービスがもつ独自性を探っていきます
STEP1と同じように、「ちょっと違うかな?」と思っても、すべて書き出してOK。
「魅力というよりは、残念ポイントかも?」と思う内容も、お客様に見せるわけではないので、安心して書き出して行ってください。

ポイント

  • 教室を開く、事業を立ち上げると決めた強い思いはなんですか?
  • 運営時に心がけていることはありますか?
  • あなたのサービスを利用することで、お客様のライフスタイルはどう変わりますか?
  • これまでのお客様の声で「良かった」と言われたポイントを思い返してみましょう。
  • 教室、事業所の立地や設備で魅力的なポイントはありますか?

step.3 USPをまとめよう

これまでの2つのブレインダンプで出てきたキーワードをヒントに、「あなたの事業の独自性」として打ち出せるものをまとめてみましょう
200文字程度でまとまると、使いやすくなります。

step.4 さらにUSPを簡潔にしてみよう。

チラシや名刺にも使いやすいように30文字程度でまとめておくと便利です。
お客様に直接営業をかけるときでも、このフレーズを覚えておくと営業が苦手な人でもアピールしやすくなります。

USPから事業コンセプトを考えてみよう

今度は、これまでのブレインダンプで出てきた内容を、「ベネフィット=お客様のメリット」へとつなげていきます。

ベネフィットを探る

ベネフィットとは

簡単に言うと、「私のサービスを受けたお客様には、こんな幸せな未来が待っています」とわかりやすく伝えること。

たとえば、あなたが化粧品を販売するとします。
商品のUSPで「ナノ化したヒアルロン酸が高配合!」という化粧水があったとします。
これを、大々的に宣伝しても「ヒアルロン酸」がどんな働きをしてくれるのかわからない人には、さっぱり魅力を感じません。

一方ベネフィットは、「お肌がしっとりして、化粧くずれしにくくなる」。
これなら成分に詳しくない人でも、「この化粧水を使ったらどうなるか」がよくわかりますよね。(本当に化粧品を宣伝する場合は、薬機法により表現の幅に制限がありますので別途ご確認ください)

USPをベネフィットにして伝えることで、どれだけ宣伝効果を高めるか、おわかりいただけたと思います。

USPからベネフィットにつなげる

ベネフィットの素材は、あなたが頑張って書き出したブレインダンプの紙にたくさん埋まっています。

「店舗が一階にある」→ベビーカーや荷物の多いお客様でも通いやすい
「駅から少し離れている」→閑静な住宅街に囲まれた隠れ家サロン
「子供の頃から地域に住んでいる」→地域の情報をたくさん教えてもらえる
「人見知りしない」→いつでも笑顔で迎えてくれる
「自由に時間を使える」→要望にあわせて、いつでも対応できる
「サロンが狭くてお客様があまり入れない」→少人数制で、一人ひとりに手厚いサービスができる

ここまで見てきてお気づきだと思うのですが、自分が「デメリット」だと思うことも、簡単にベネフィットになります

事業コンセプトを決める

ベネフィットを元に、「誰に」「どんなサービスを」「どんなこだわりで」提供するのかをしっかり決めていきます。

たとえば、事業コンセプトを「孤独に子育てをしているママに、リラックスできる空間でお友達づくりもできるベビーマッサージ教室」
として、ベビーマッサージだけではなく、お友達を作ったりみんなで子育ての愚痴を吐き出したりもできる空間を作る。

…という感じです。

まとめ

「USP」と「事業コンセプト」は、これからあなたが仕事をしていく上で、背骨のような存在になる大切なものです。

特に、最後にまとめた「事業コンセプト」は、常に頭に入れておいてください。
紙に書いて壁に大きく貼っておくのもおすすめです。

コンセプトがないサービス・商品は、価格でしか勝負できなくなってしまいます。
価格では大手起業には決してかないません。
不利な戦いをしないためにも、わかりやすくしっかりとしたコンセプトを手に入れてください。

  • B!