事業計画

目標収益を決める

目標収益

得意で好きなこと、さらに需要もあることを確認して、どんなジャンルの事業を始めるか決めたら、次に大切なのは「その事業で稼げるのか?」ということですね。

実は、世の中には「得意で好きで、需要も大きいのにお金にならないこと」というのが、とてもたくさんあります。
特に女性起業家さんが手をつけやすい「子育て支援系」の事業も、行政との差別化の面から収益化が難しくなりがちなジャンルです。
(もちろん、方法によってはきちんと事業として成り立っているところはたくさんあります)

自分が「コレ!」と思った事業が、きちんと収益を生んでくれるのか?
必要とする金額を稼ぎ出すことはできるのか?
まずはしっかり計算して、もし収益化が難しいのであれば、「逆にどう変更すれば、収益化に繋げられるのか?」を考えていきましょう。

一ヶ月あたりの利益目標を考える

女性起業の場合には、人によって目指す金額が大きく違うため、まずは「目標とする金額」からはっきりさせておきましょう。

女性起業家のタイプ別目標設定

  • 多少の犠牲を払っても、とにかくがっつり稼ぎたい
  • 旦那さんの扶養の範囲内で稼ぎたい
  • 家族や子どもを第一に、空いた時間で稼ぎたい
  • 仕事をしながら、副業として稼ぎたい

よくあるタイプを挙げただけでも、これくらいの差があります。
自分がどこを目指すのか、「起業の目的」に立ち返って、しっかり考えておきましょう。

たとえば、「がっつり稼ぎたい」人の目標金額は、最低でも30万円/月以上になるでしょうし、副業としてなら1,2万円/月くらいが目標かもしれません。

自分が目指す「月あたりの目標収入」をはっきりさせておきましょう。
まずはこれを(A)とします。

一ヶ月にかかる経費を計算する

事業を継続していくうえで、一ヶ月あたりどれくらいのお金がかかるでしょうか?

家賃やスペースレンタル料、人件費、店舗なら水道光熱費、広告宣伝費、消耗品代など、自分が一ヶ月事業を続けるにあたって必要になる金額を計算しておきましょう。

自宅で作業するハンドメイド作家の場合は、「経費はゼロ」と考える方も多いのですが、事業として成り立たせるためには「自分の人件費」はかならず計算に入れてください。
一ヶ月、どれくらいの時間を制作に割り当てるのか、その時間に対して自分がどれくらいの時給を取りたいのかを計算します。

これを(B)とします。

原価率を計算する

原価率は簡単にいうと、売上の中でどれくらいが材料費か?の割合

原価率の計算式

売上原価(材料費、仕入れ代金)÷売上高×100=原価率

飲食店の場合は、30~35%が適正と言われていますが、原価は低ければ低いほど良い数字です。

パン教室なら「一ヶ月に使う小麦粉やイーストなどの値段÷一ヶ月の売上×100」が原価率になります。
アクセサリーショップなら「一ヶ月に使うアクセサリーパーツの値段÷一ヶ月の売上×100」が原価率です。

こうして計算した原価率をαとします。

一ヶ月の売上目標を設定する

ここまでに計算した数字を以下の式に当てはめてみます。

売上目標の計算式

「一ヶ月の利益目標(A)」+「一ヶ月の経費(B)」+「一ヶ月の売上原価(売上目標×原価率α)」=売上目標

たとえば、利益目標30万円、経費3万円、原価率30%=0.3で、売上目標をxとすると…

30+3+0.3x=x

このような方程式になります。これを解くと…

33=(1-0.3)x

x=33/0.7≒47

x=約47万円と計算できますので、一ヶ月に必要な売上の目標は47万円になります。

一ヶ月の販売目標を設定する

その金額を稼ぎ出すためには、どれくらいの金額の商品を、どれだけ売る必要があるのかを計算していきます。

まずは、一ヶ月あたり何名のお客様に対応するのかを決めます。
飲食店などは回転数も含めて計算しますが、ここでは簡単に

販売目標数の計算式

営業日数×1日あたりの客数=販売目標数

で考えてみましょう。

一ヶ月あたり20日営業、1日あたり8名のお客様に対応可能だとすると

20×8=160件

160件の売上が可能ということになります。

ハンドメイド品などの販売の場合は、一ヶ月あたり何個くらい販売できそうか?を考えます。
100個!といっても、一日一個のペースで手作りで制作していれば難しいですし、一度にたくさん作れるのなら、200個、300個というのもありかもしれません。

ここでは「お客さんが買ってくれるか?来店してくれるか?」は、ひとまず置いておいて、これを販売目標数にしておきましょう。

商品価格を設定する

いよいよ商品価格を計算してみます。

商品価格の計算式

売上目標÷販売目標=商品単価(客単価)

目標売上47万円÷販売目標160件=2,938円。

客単価が約3,000円であれば、目標金額を達成できることになりますね。

価格が高すぎるときは…

計算で出てきた金額が、一般に比較して高すぎる…という場合は、お客さんが逃げてしまうため、そのままでは事業として成り立たない可能性があります。

  • 営業日数を増やす、一日あたりの客数を上げる
  • 仕入れ値や経費、原材料費を削減する
  • 高価格に見合った商品にクオリティアップする

このどれかで、他店と戦えるように調整していきましょう。

市場調査

目標値は出したものの、果たして達成可能な数字なのか?は確認しておく必要があります。

需要がどれくらいあるのか?
顧客が払える金額はどれくらいなのか?

事前に調査しておくことも大切です。

見込み顧客数を考えてみる

あなたの商品を「ほしい!」と思うお客様はどれくらいの人数いるでしょうか?
売り出したとして、どれくらいの人が購入してくれるか、予想してみます。

たとえば…

身近な人で〇〇さんと××さんは欲しいはず。
おうちサロンだから、自宅に来られる範囲で町内全域と考えると、大体100人くらいはいそう。

のようなざっくりとした感じでもok。

見込み顧客のうち、一月あたりどれくらいの人が、あなたの商品やサービスを購入してくれそうでしょうか?

この数値と、先程計算した「販売目標数」があまりにもかけ離れている場合には、目標の売上に到達するのは難しくなってしまいますので、もう一度、はじめから検討する必要があります。

ポイント

実はこの時、一番大切なのは「身近な人で〇〇さんと××さんは欲しいはず」というところです。
(これが浮かばない場合は、商品の設計から考え直したほうが良いかもしれません)
顔が思い浮かぶ範囲で欲しがってくれる人がいるということは、必ずもっとたくさんの人が欲しがる商品だということになりますよね。

商品価格を調査する

近隣で同じような業種のお店が、どれくらいの価格設定にしているのか。
お客様は、どれくらいの金額なら払えそうか?
実際に他店を調査しておく必要があります。

同業他社があまりなくて「いくらにしたらいいのかわからない…」というときは、テストマーケティングとして、友人知人などに商品やサービスを提供して「いくらなら買いますか?」とアンケートを取ってみるのもおすすめです。

まとめ:目標収益から目標売上数と価格を決める

浮かんだアイディアで、目標となる収益額は得られるのか?
どうすれば目標に届くのかを、冷静に考えてください。

「いくらの商品を、何人に売れば良い」ところまで細分化して、この金額・顧客数を目指してがんばりましょう。

  • この記事を書いた人

ゆり

起業3年目のフリーランスママ。 M-coto株式会社でママ講師さんたちの活躍をサポート中。 ママかつ認定講師養成講座講師。 小学生から幼稚園までの3児の母で、元薬剤師でありながら、WEBマーケター、ライター、セミナー講師などとして、子供との時間を第一にしながら働いています。

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